「家族 ‐じっじとペン‐」

梶 なみ江(宮崎市)

我が家には、犬が二匹いた。シェパードのラミと、ミニチュアシュナウザーのペンだ。主人の厳しいしつけの甲斐あって、とても賢い。
八月、ペンを主人の実家の熊本で育てる話がもち上がった。義父が、腰の手術で入院、物忘れも少し出てきたというのである。
退院してきたあと、家に犬がいると、今までとは違った楽しみがあるのではないか。また、ペンは私たち家族が帰省の度に連れて行き、義父母にもすごく慣れている。義兄に話すと「おーよかたい!」受け入れも万端という。
ところが、問題が一つ、五年生の息子である。いつも愛犬とボールで遊んだり、食事の世話をしたり、大変かわいがっているのだ。そこで、事情を説明した。やはり「だめ!」の一言。やっぱりと思った。そこで「じっじの体が早く良くなるよ」切り札の言葉を口にした。息子は一瞬、沈黙。顔を上げると涙目「あとで返事する」その場を去った。ショックだよなぁ。うーん、無理かー。
それから、一週間が過ぎた。夕食のとき、「お母さん、一年だけでいい?ペンを貸してやるの?そのくらいは、我慢するから……」ポツリと言った。「うん、いいよ。ありがとうね」胸が熱くなった。
さっそく、義兄に電話をする。息子の了解をもらったことと、一年間の期限付きの約束をした。別れはとてもつらい。さびしかった。それでも、会いたくなったらいつでも会えるという安心感があった。
今日も息子は、熊本へ電話をする。じっじとの会話もそこそこだ。「ペーン!ペーン」受話器に大声で叫ぶ。すると「ワン」「ワン」返事がくる。ピカ一の笑顔だ。お正月には会える。それが待ちどおしくてたまらないようすである。
離れていても、愛犬ペンはやっぱり家族の一員なのだ。

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