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挑戦する企業 家族葬を演出して業界に新風を吹き込む
MIT 2007年5月

高齢化で人口ピラミッドがつぼ型になり、葬祭市場は当面底堅い。
しかし、故人を送る方法も多様化してきた。
もはや「高い、わかりにくい」は許されない。エポック・ジャパンが提案する「ファミーユ」。
高見信光社長がめざす家族を中心とした葬祭が好まれ始めている。
同社はそのトレンドを背景に、直営とFCで全国展開を狙っている。

時間と空間を提供したことのほうが断然高いんです」と。
日本消費者協会が2003年9月に行った「葬儀についてのアンケート調査」によると、葬儀費の総額は全国平均で236万6000円。これに対してファミーユの場合は、会葬者の人数に対応したセット料金方式で42万円~126万円(税込み)の5つのプランが用意されている。各プランとも棺、祭壇はもとより返礼品、精進落とし、位牌まで葬儀に必要なすべての費用が含まれている。明朗会計の徹底ぶりがうかがえる。
高齢化社会を背景に毎年亡くなっている人の数は100万人を超え、国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば2038年には死亡者数が170万人に達するという。
葬儀業界にとっては追い風なのだが、高齢化による「老後の長期化」や「高齢単独世帯数の増加」などにより、会葬者の少ない小規模な葬儀、すなはち家族葬が今後ますます増えてゆくことが予想される。したがって、葬儀業者は今後、会葬者の少ない家族葬でも利益を出せる事業に改革してゆかなければならないだろう。

首都圏と宮崎で集中展開生活者に直接アピールする
宮崎県の葬儀会社「みやそう」の二代目として、小さい頃から業界を見て育って来た高見社長は「葬儀業は経営資源を特定の地域に集中するドミナント戦略が効果的です」という。直営ホールを創業地の宮崎と大市場の首都圏に集中しているのはその為である。
とはいえ、業界全体を見れば、高年齢化社会を背景に商機を求めて異業種や外資も参入し、事業所数は増加している。市場規模が約2兆円とされている業界にあって、シェア争奪戦はより厳しい時代を迎えていることは間違いない。
「新しいサービスは、生活者の半歩先がいいとされています。その意味ではいま、ファミーユを時代のニーズに近づける段階です。基本的には、直営、FCともホームページの活用、チラシの配布、ホールを使ってのイベント開催によって地域の人たちに当社の葬儀に対する考え方や仕組みをアピールしています。この費用は加盟店様の負担を含め、本部としても宣伝広告には売上高の十数%をかけてきました」(高見社長)。
例えばホールを中心とする周辺2キロの範囲に人口が5万人といった地域では、ホール立ち上げのオープニングイベントを2日間行い、800人の来場を目標にした。このうちおよそ3割がファミーユの会員になるというから、セレモニーとしての商品力は極めて高い。
これまで、多くの葬儀業者が病院や介護サービスセンターなどのコネクションを作ることで顧客の囲い込みを図ってきた。しかし高見社長は、直接生活者に働きかける営業だけをしている。競合に勝つというよりはファミーユの特徴を理解してもらうという姿勢を堅持しているからだ。

高収益モデルの確率を急ぎアフターケアで付加価値狙う
今後ファミーユを広げていく上で、これまで以上に重要になってくるのが葬儀の運営に当たるスタッフのマナーとコスト管理だ。「特に接客は直営ホールとフランチィジーの品質に差があってはならない」。そのため高見社長は本部がまず運営のクォリティを高め、それをFCの研修に応用していくことにした。
「お客様との打ち合わせや式の段取りを決めてゆく際、大切なのは間の取り方です。本当に故人を偲びたいという方たちが集まっておられるわけですから、ゆっくりとした気持ちになれるよう配慮しています。当社を利用していただいた方の9割はにご満足いただいています。研修は3ヶ月半程度。基礎的な知識から入って、現場見学などを通し、そうしたノウハウを学んでもらいます」。
一方、コストにおいて一番大きいのが人件費である。葬儀業界ではいつ依頼があっても対応できるよう、24時間・365日体制でスタッフを待機させるのが業界の常識になっている。これをいかに効率化するか・・・。

高見社長が出した答えは「葬儀依頼を1日1組に限る」というコロンブスの卵的な解決策だった。
つまり1日1組という余裕のあるオペレーションで深夜の祭壇の準備などによる人件費を圧縮した。
また「ファミーユホール」の内装や設備をシンプルな設計で全国統一し、業務を効率化させてスタッフの肉体的負担を軽減した。
これより葬儀サービスの生産性が飛躍的に高まり、同社では平均65%もの粗利を計上。しかも月5~6件の葬儀依頼を処理すれば採算がとれるという。低料金でこれだけ収益のある同社ビジネスモデルに触発されるからだろうか、後追い組が出始めている。
しかし、後追い組は貸し式場などの既存のホールを使って葬儀を提供するためのオペレーションコストがかさみ、同社ほどの収益を出せないようだ。
これからの課題は、葬儀の付加価値をいかに上げていくかということ。その為の選択肢に他業種との連携やM&Aがある。狙いは葬儀後の遺族のアフターフォローだ。
喪主の多くは高齢で、悲しみが十分に癒されないうちに相続や生活の再スタートを考えなければならない。
そこをサポートできれば、より評価は高まる。
「2兆円市場の中で当面は500億円。そこを目指します」という。高見社長の挑戦はまだまだ続く。


